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『きみの友だち』 重松清、新潮文庫

今日は中学生におすすめの一冊です。
『きみの友だち』 重松清、新潮文庫
交通事故で足が不自由になった恵美ちゃんと重い腎臓病を患う由香ちゃんの出会いと別れを軸に、思春期の「友だち」の関係を描いた連作小説。学校の人気者・ブンちゃんとモト君、勉強も運動もぱっとしない三好君、先輩風を吹かす佐藤君、八方美人の堀田ちゃん、友だちの顔色を気にしてばかりの西村さん、彼氏ができた親友に居心地の悪さを覚えているハナちゃん。登場人物たちは皆、身近にいそうな読者と等身大の子供たち。友だちがいないと不安。一緒にいないと不安。でも一緒にいても不安。その内面描写が実にリアルで共感を呼ぶ。重松さんは、どうしてこんなにも子供たちの心が読めるのだろう。
友だちって何だろう?
「親友だったら、やっぱ一緒にいないと寂しいじゃん」というハナちゃんに、恵美ちゃんが応えた台詞が心に残る。「私は一緒にいなくても寂しくない相手のこと、友だちって思うけど」。
どの子も話もリアルでシビアだけれど、子供たちのありのままを受け止め、受け入れる、重松さんの優しいまなざしを感じる。圧巻は恵美ちゃんの二度目のお話――きみと、きみの友だちの、お別れの話だ。とても悲しいけれど、納得できる。読みながら、涙がとめどなく溢れてくる。本を閉じてしばらくしても、涙が溢れてくる。
この小説を、中学生の頃に読んでみたかった。
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