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『お任せ!数学屋さん』 向井湘吾、ポプラ社

天野遙(あまのはるか)のクラスに風変りな転校生がやって来た。
「神之内宙(じんのうちそら)です。特技は数学。将来の夢は、数学で世界を救うことです」
その自己紹介にクラスは爆笑するが、宙は本気で数学で世界を救おうとしていたのである。
途轍もない大きな夢の第一歩として、宙は「数学屋」を始める。それは「数学の力でみんなの悩みを解決する、お悩み相談所」。
なりゆきで最初のお客さんになった遙の悩みは、「グローブを買い替えたいけど、部活帰りに友達と行くファーストフード店でお小遣いを使いすぎちゃって、なかなかお金がたまらない」。自業自得や!買い食いやめろ!と片付けたいところだが、この悩みに対して、宙は数学的なアプローチで見事に一つの現実的な解決策を提示する。
①まずは目標設定。いつまでにいくら貯めたいのか。
②次に情報収取。小遣いの額、ファーストフード店に行く回数、そこで使う金額などを洗い出す。
③次にどこを減らせるか、支出を見直す。ハンバーガーを一番安いやつにして、月9回のうち4回をコーラだけで我慢する。
これでひと月に1500円貯金できることがわかった。グローブは6000円。この計画を実行すれば4か月後にはグローブが買えるのだ!!
なるほど、欲しいものを手に入れるには、具体的な計画と実践が必要なのだ。当たり前だけど。
それの一つの方法が「数学的アプローチ」なのである。どうしていいかわからないなら、とりあえず数値化して考えてみるのも手だなと思います。問題解決の新たな視点を与えてくれるという点で、参考になる作品です。
これをきっかけに遙はマネージャとして数学屋さんをサポートすることになる。この後も宙は数学を使って学校内の問題に答えを出していくのだが、数学的には正解の答えが、現実にうまくいくとは限らない。「現実は割り切れないものなのだ」というところも仄めかされているのが面白かった。
中高生のみなさん、是非読んでください。若い時代に、数学的アプローチを身に着けておくといいと思うよ。


作者の向井湘吾さんは、「日本数学オリンピック予選にてAランクを受賞し、本選に出場。好きな分野は数列」(本書の作者紹介より)という実力者。それがどれくらいすごいのか正直わかりませんが、数学がすごく得意で、広く深い数学知識をお持ちの方であることは間違いないでしょう。
実は私、今、向井さんの母校(高校)のPTA活動をしていまして、その仲間から聞いた話によると、向井さんはこれだけ数学が好きで得意にも関わらず文系を専攻されたそうです。その理由は「作家になりたいから」だったとか。理系の頭脳を持ちながら、文系の技術を磨いていく。一つの道を突き詰めるという学び方・生き方も立派だと思いますが、一見対照的な分野を両方追求していくことで、バランス感覚が磨かれていくのかもしれません。
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『影法師』 百田尚樹、講談社文庫

お友達が「面白いよ」といって貸してくれた一冊。確かに面白かったemoji
 理不尽な刃傷沙汰で父を殺された戸田勘一は、母と妹との極貧の暮らしを余儀なくされたが、不屈の精神と剣術の腕前で茨の道を自ら切り拓き、下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた。その成功の陰には、竹馬の友・磯貝彦四郎の存在がある。彦四郎は頭脳明晰で剣の達人、仲間内では一番の出世頭で将来を嘱望された人物だったが、ある事件を境に勘一と彦四郎の運命が大きく動く。勘一が役職で江戸に赴いてまもなく、彦四郎は不祥事をしでかし逐電する。
 20年ぶりに家老として帰藩した勘一(改め名倉彰蔵)は、彦四郎が不遇な死を迎えていたことを知り、ようやく明らかになった事実に愕然とする。彦四郎は勘一の「影法師」として、その人生を支え続けていた。それは友情とひとことで呼ぶにはあまりも深く壮絶なものであった。「命を懸ける」ということは、こういうことなのかもしれない。

『きみの友だち』 重松清、新潮文庫

今日は中学生におすすめの一冊です。
『きみの友だち』 重松清、新潮文庫
交通事故で足が不自由になった恵美ちゃんと重い腎臓病を患う由香ちゃんの出会いと別れを軸に、思春期の「友だち」の関係を描いた連作小説。学校の人気者・ブンちゃんとモト君、勉強も運動もぱっとしない三好君、先輩風を吹かす佐藤君、八方美人の堀田ちゃん、友だちの顔色を気にしてばかりの西村さん、彼氏ができた親友に居心地の悪さを覚えているハナちゃん。登場人物たちは皆、身近にいそうな読者と等身大の子供たち。友だちがいないと不安。一緒にいないと不安。でも一緒にいても不安。その内面描写が実にリアルで共感を呼ぶ。重松さんは、どうしてこんなにも子供たちの心が読めるのだろう。
友だちって何だろう?
「親友だったら、やっぱ一緒にいないと寂しいじゃん」というハナちゃんに、恵美ちゃんが応えた台詞が心に残る。「私は一緒にいなくても寂しくない相手のこと、友だちって思うけど」。
どの子も話もリアルでシビアだけれど、子供たちのありのままを受け止め、受け入れる、重松さんの優しいまなざしを感じる。圧巻は恵美ちゃんの二度目のお話――きみと、きみの友だちの、お別れの話だ。とても悲しいけれど、納得できる。読みながら、涙がとめどなく溢れてくる。本を閉じてしばらくしても、涙が溢れてくる。
この小説を、中学生の頃に読んでみたかった。

『抱擁、あるいはライスには塩を』(江國香織著、集英社)

娘が通う高校でPTAの図書委員をしています。先生方とPTA役員イチオシの「推薦図書リスト」を発行することになり、私も一筆書かせていただくことに。

私が高校生にお薦めする一作はこちら

『抱擁、あるいはライスには塩を』(江國香織著、集英社)
 大正期に建築された洋館に暮らす家族の歴史が、それぞれの視点で時間を自由につなぎ合わせて紡がれていく。ロシア人の祖母。子供を学校にやらない教育方針。父か母が違う四人の子供たち。同居する叔父と叔母。独特の価値観を持つ柳島家の人々は、世間から浮いている。そんな風変りな家族の側に身を置いて、無意識に意識している「普通」や「常識」を見つめ直してみよう。柳島家の人々のぶれない生き方が清々しい。

追伸:
少し前にfacebookを始めまして、日々のプライベートな出来事は主にそちらに投稿するようになりました。ブログも同じような内容では芸がないので、こちらには何を投稿しようか考えていたところでした。これを機に、ブログは趣味と仕事の勉強を兼ねた本の紹介を中心にしていこうかと思っています。

朝ドラ

「あまちゃん」ブームに乗り遅れたのがなんとなく悔しくて、何十年かぶりに見始めたNHKの朝ドラ「ごちそうさん」(まじめに毎日見てたのは今回が初めてかも)。

明るい主人公、がんこおやじ、気の利くおかあさん、見た目も中身も男前な旦那さん、意地悪な小姑。ベタな要素とほぼ毎回でてくる創作料理が視聴者の心を捉えているようで、高視聴率を維持してきたようです。私もそれを支える一人。この作品、確かに面白い。
明治から昭和にかけてが時代背景なので、戦争色が出てくるあたりからは見ていて辛いものがありましたが、食を追求した主人公(とこの作品)が、食糧難の時代をどう乗り切るかがこの作品の正念場だったように思います。
ストーリーに登場する食べ物は見どころでしたが、それ以上に、登場人物たちのキャラクターや生き方が面白かった。ストーリーを通して伏線が実に巧妙に張られているのも、面白さの理由かも。

今日は主人公め以子の親友の桜子ちゃんが久しぶりに登場。桜子ちゃんは生粋のお嬢様ですが、売れない作家の室井さんとかけおちして大阪にやってきた。桜子ちゃんの夢は室井さんを大作家にすること。しかし室井さんはなかなか芽が出ず、戦争中は兵隊の士気を煽る童話を書いて凌いだりしてましたが、疎開先(桜子ちゃんちの別荘)から追い出されてしまう。戦後しばらくして室井さんは傑作を書く。その作品には焼け跡で必死でいきる人々の生きざまがユーモアとともに織り込まれているらしく、室井さん自身が肌で感じた焼け跡体験から生まれたのでしょう。桜子ちゃんは、そういう作品を書かせるために、室井さんを追い出したということが分かったのでございます(ぬか床ナレーション風に)。桜子ちゃんもこうして夢を叶えたんだねー。私、実は、「ごちそうさん」の登場人物では桜子ちゃんが一押しです。
こういう主人公を凌ぐような強烈なキャラクターが脇を固めている。その中で主人公のめ以子は平凡な主婦なんだけど、平凡であるがゆえに視聴者の共感を呼ぶんだろうなー。そういう点では主人公としての存在感はしっかりあり、「上手いなぁ」と思えるドラマです。あと4回で終わっちゃう-(ToT)/~~~

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